川崎市の飲食店営業許可|高津区・溝の口の窓口・手数料・手続きの流れ
川崎市高津区(溝の口)で飲食店を開くには、店舗の工事を始める前に区役所の衛生課へ図面を持って相談し、営業許可を受ける必要があります。窓口は高津区役所の衛生課食品衛生係(電話 044-861-3323)です。
営業許可のほかに、消防署への届出、深夜に酒類を提供する場合の警察への届出など、提出先の違う手続きが並行して走ります。それぞれ期限も費用も別なので、順番を間違えると開店予定日に間に合いません。この記事では、川崎市の公式情報をもとに全体像と各手続きを整理しました。
この記事で分かること
- 飲食店の営業許可を取るまでの流れと、開店予定日から逆算した動き出しの時期
- 高津区・溝の口の申請窓口と受付時間、手数料
- 営業許可が必要な業種と、届出だけで足りる業種の違い
- 食品衛生責任者の資格の取り方(川崎市での受講先・受講料)
- 深夜0時以降にお酒を出す場合の届出(営業開始の10日前まで)と、物件選びで先に確認すべきこと
- 消防への届出(使用開始の7日前まで)と、店内禁煙のルール
⚠️ 最初にやるのは申請ではなく「事前相談」です。 川崎市は「事前(工事着手前)に受付窓口へ電話連絡の上、図面を持参し、御相談ください」としています。内装が仕上がってから相談すると、施設基準に合わない箇所が見つかったときに作り直しになります。
手続きの全体像
飲食店を開くときに関わる主な手続きです。提出先がすべて違います。
| 手続き | 提出先 | 時期 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 飲食店営業許可 | 高津区役所 衛生課食品衛生係 | 営業開始予定日の2週間くらい前 | 16,000円 |
| 防火対象物使用開始届 | 高津消防署 予防課 | 使用開始の日の7日前まで | なし |
| 深夜酒類提供飲食店営業開始届(深夜0時以降に酒類を出す場合のみ) | 高津警察署 生活安全(第一)課 | 営業開始の10日前まで | 警察署にご確認ください |
| 個人事業の開業届 | 所轄の税務署 | その年分の確定申告期限まで | なし |
⚠️ 開業届は「開業から1か月以内」ではありません。 国税庁は提出期限を「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」としています(所得税法第229条)。「1か月以内」と書いている解説を見かけますが、国税庁の案内と条文はいずれも確定申告期限までとなっています(2026年8月確認)。
開業全般の相談先(融資・創業支援)は別の記事にまとめています。あわせてお読みください。
川崎市で開業・起業するときの相談先と支援制度まとめ営業許可が必要か、届出で足りるか
食品を扱う営業は、許可が必要なもの・届出で足りるもの・どちらも不要なものの3つに分かれます。
営業許可が必要:飲食店の営業、食肉・魚介類の販売(いずれも包装品を除く)、菓子や漬物の製造など。
営業届出が必要:食品衛生法第57条に規定する食品営業と、集団給食施設(1回20食程度未満の施設を除く)。
届出も不要:食品又は添加物の輸入業、食品又は添加物の貯蔵・運搬のみをする営業(冷凍・冷蔵倉庫業を除く)、常温で長期間保存しても品質の劣化のおそれがない包装食品の販売業(スナック菓子・カップ麺・清涼飲料水・酒精飲料・茶類など。生鮮食品は除く)、合成樹脂以外の器具容器包装の製造業、器具容器包装の輸入・販売業。
⚠️ 届出の施設にも、原則として食品衛生責任者の選任が必要です。 食品衛生法の改正により令和3年6月1日から義務化されました(合成樹脂が使用された器具・容器包装の製造・加工業を除く)。「許可がいらないから何もしなくてよい」ではありません。
手続きの流れ
川崎市の「営業許可申請の手引き(令和8年4月版)」に示された順序です。
1. 事前相談 — 施設の工事開始前に、図面を持参して区役所衛生課等に相談します。営業許可を受けるには施設基準(神奈川県条例)に合う施設であることが必要です。既存の施設や自動車を使って営業する場合も、図面を持参して相談します。
2. 申請書類の提出 — 営業開始予定日の2週間くらい前に提出します。標準処理期間は10日です。
3. 調査日程の相談 — 申請受付後、調査担当者と工事の進行状況・連絡方法・調査日時を相談します。
4. 実地調査・審査 — 営業者が立ち会います。 不適事項の改善指導を受けた場合は、改めて調査日程を決めて改善後に再調査を受けます。構造設備基準に適合しない場合は許可がおりません。
5. 営業許可書の交付 — 交付予定日になったら、印鑑(認印)を持参して窓口で受け取ります。
6. 営業開始 — 許可がおりてから営業を開始します。
⚠️ 審査が終わって許可がおりるまでは営業を開始できません。 「申請したから大丈夫」ではないので、内装工事の遅れがそのまま開店延期につながります。工事のスケジュールは調査日程と合わせて組んでください。
高津区・溝の口の窓口
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 窓口 | 高津区役所 地域みまもり支援センター(福祉事務所・保健所支所)衛生課 食品衛生係 |
| 電話 | 044-861-3323 |
| 窓口受付時間 | 平日 8:30〜12:00、13:00〜17:00 |
| インターネット申請 | 24時間(食品衛生申請等システム) |
窓口で申請した場合、申請後に変更が生じたときの手続きも窓口のみになります。インターネットで申請した場合は、その後の変更手続きもインターネットで行います。どちらか一方に揃える必要があるので、最初に決めておくと後が楽です。
北部市場内の施設は中央卸売市場食品衛生検査所(044-975-2245)、一部の大規模施設などは市の生活衛生課(044-200-2452)が窓口になります。
申請に必要なもの
提出する書類(返却されません。控えが必要な場合は2部用意してください)
- 営業許可申請書(第10号様式)
- 施設の構造及び設備を示す図面
- 水質検査の結果を証する書類の写し(水道直結・専用水道・簡易専用水道・小規模受水槽水道以外の水を使用する場合のみ)
- 許可申請手数料
確認する書類(確認後、返却されます)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(原本又は写しの提示)
- 法人の場合は登記事項証明書(最新情報、原本又は写しの提示)
手数料
川崎市の主な業種の手数料です。
| 業種 | 手数料 |
|---|---|
| 飲食店営業 | 16,000円 |
| 菓子製造業 | 14,000円 |
| 漬物製造業 | 14,000円 |
| 食肉販売業 | 9,600円 |
| 魚介類販売業 | 9,600円 |
その他の業種は窓口にお問い合わせください。
食品衛生責任者の資格を取る
営業者は食品衛生責任者を定めなければなりません。次の資格を持っている人がいれば、講習会の受講は不要です。
- 食品衛生監視員、食品衛生管理者
- 調理師、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士、船舶料理士
- と畜場法に規定する衛生管理責任者・作業衛生責任者、食鳥処理衛生管理者
- 都道府県知事等が行う講習会、又は都道府県知事等が適正と認める講習会(養成講習会)を受講した者
有資格者がいない場合は、営業者本人か選任予定の人が養成講習会を受けます。川崎市では一般社団法人川崎市食品衛生協会が実施しています。
| 項目 | 内容(2026年8月時点) |
|---|---|
| 受講料 | 11,000円 |
| 申込方法 | 協会及び各区食品衛生協会の窓口に直接申し込む(電話での申し込みはできません) |
| 受付時間 | 平日 10:00〜12:00 / 13:00〜16:00 |
| 問い合わせ | 044-511-3133(平日10時〜16時) |
| 持ち物(当日) | 受講票、身分証明書、筆記用具 |
⚠️ 講習会は毎日開催されているわけではありません。 2026年8月時点で公開されている日程表は9月・10月・11月に各1日(月1回)で、満席になることもあります。開店日から逆算して早めに押さえてください。 最新の日程と空き状況は協会のサイトで確認できます。
なお食品衛生責任者は、実務講習会を定期的に受講して新たな知見の取得に努めることとされており、川崎市では毎年度の受講を目安としています。
HACCPに沿った衛生管理
食品衛生法の改正により、令和3年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者にHACCPに沿った衛生管理が義務付けられています。
飲食店営業(給食施設を含む)は「小規模な営業者」に分類され、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行います。業界団体が作成し厚生労働省が確認した手引書に基づいて、衛生管理計画の作成と記録の実施を行う方式です。ゼロから計画を組み立てる必要はありません。
川崎市は衛生管理計画と記録表の様式例を公開しているほか、飲食店向けの講習会動画も公開しています。
深夜0時以降にお酒を出す場合
深夜(午前0時〜午前6時)に酒類を提供する飲食店営業を営む場合は、風営法第33条第1項に基づき、営業所ごとに、所在地を管轄する公安委員会(実務は警察署)へ届出書を提出します。高津区の場合は高津警察署です。
提出期限は、深夜において営業を開始しようとする日の10日前までです(風営法施行規則第103条第3項)。飲食店営業許可とは別の手続きで、期限も提出先も違います。
スナック・酒場などが対象で、営業の常態として通常主食と認められる食事を提供して営むものは除かれます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 届出先 | 高津警察署 生活安全(第一)課(〒213-0001 川崎市高津区溝口4丁目5番1号 / 電話 044-822-0110) |
| 主な提出書類 | 営業開始届出書、営業の方法を記載した書類、営業所の平面図、本籍記載の住民票の写し(法人は定款・登記事項証明書・役員の住民票の写し) |
| 営業時間の制限 | なし |
| 営業所の基準 | 客室の床面積9.5平方メートル以上(客室が1室のみの場合は制限なし)、客室に見通しを妨げる設備がないこと、客室の出入口に施錠の設備がないこと、照度20ルクス以上 など |
⚠️ 住居専用地域・住居地域(準住居地域を含む)では、深夜酒類提供飲食店営業は原則として禁止されています。(商業地域の周囲30メートル以内の住居地域は除かれます。)物件を契約する前に用途地域を確認してください。 内装が仕上がってから「この場所では深夜営業ができない」と分かっても取り返しがつきません。
⚠️ 飲食店営業許可の「2週間くらい前」とは別に、10日前の期限があります。 営業許可の申請だけ済ませて安心していると、深夜の酒類提供だけ開始が遅れることになります。両方の期限から逆算してスケジュールを組んでください。
なお、この届出は飲食店営業許可を受けていることが前提です。書類の不備で受理されないこともあるため、余裕をもって提出し、書類の内容は事前に高津警察署に確認してください。
消防への届出
飲食店を新しく使い始めるときは、防火対象物使用開始届を消防署に提出します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出先 | 高津消防署 予防課(〒213-0002 川崎市高津区二子5-14-5 / 電話 044-811-0119) |
| 時期 | 使用開始の日の7日前まで |
| 手数料 | なし |
| 添付書類 | 付近見取図、配置図、平面図、立面図、仕様書及び室内仕上表(消防用設備等の配置図などが必要な場合があります) |
| 受付時間 | 平日 8:30〜17:15(12:00〜13:00の昼休憩を除く) |
| 根拠 | 川崎市火災予防条例 |
オンライン手続(e-KAWASAKI)にも対応しています。厨房設備によっては「火を使用する設備等の設置届」など別の届出が必要になる場合があるため、事前相談のときに確認してください。
店内は原則禁煙です
健康増進法の改正により、2020年4月1日から屋内は原則禁煙です。飲食店は「第二種施設」に区分され、原則屋内禁煙となります。
経営判断で、屋内禁煙・喫煙専用室の設置(喫煙のみ可)・加熱式たばこ専用の喫煙室の設置(飲食可)などを選べますが、喫煙室を設ける場合は定められた要件を満たす必要があります。
⚠️ 小規模飲食店が店内を喫煙可能にできる経過措置は、「法改正(2020年4月1日)前から営業していた」店が対象です。 これから開業する店は対象になりません。喫煙可の店にしたい場合は、要件を満たす喫煙室の設置が前提になります。
営業開始後にやること
営業許可を受けたら、営業許可事項の掲示義務があります。掲示する内容は次の6項目です。
- 施設の所在地
- 施設の名称、屋号又は商号
- 許可を受けた年月日及び許可番号
- 営業の種類
- 営業許可期間
- 許可条件
営業許可書の原本又は写しをそのまま掲示しても、許可事項を自分で記載して掲示してもかまいません。
食品衛生責任者については掲示義務はありませんが、誰か分かるように氏名の掲示や帳簿への記録をしておくとよいとされています。
よくある質問
Q. 溝の口で飲食店を開くとき、どこに相談すればよいですか
高津区役所の地域みまもり支援センター(福祉事務所・保健所支所)衛生課食品衛生係(電話 044-861-3323)です。店舗の工事を始める前に、電話で連絡したうえで図面を持参して相談してください。
Q. 申請してから何日で営業できますか
標準処理期間は10日です。川崎市は営業開始予定日の2週間くらい前の提出を案内しています。ただし実地調査で不適事項があると再調査になるため、余裕をもって進めてください。許可がおりるまで営業は開始できません。
Q. 飲食店の営業許可はいくらかかりますか
川崎市の飲食店営業の手数料は16,000円です。このほかに食品衛生責任者の養成講習会を受ける場合は受講料11,000円がかかります(2026年8月時点)。
Q. 調理師免許を持っていれば食品衛生責任者の講習は不要ですか
不要です。調理師のほか、製菓衛生師、栄養士、管理栄養士、船舶料理士、食品衛生監視員、食品衛生管理者などの資格があれば、養成講習会を受けずに食品衛生責任者になれます。
Q. テイクアウトだけの店でも営業許可は必要ですか
調理した食品を提供する場合は飲食店営業の許可が必要です。一方、常温で長期間保存できる包装食品(スナック菓子・カップ麺・清涼飲料水など。生鮮食品を除く)の販売だけであれば届出も不要です。扱う食品と調理の有無で変わるため、事前相談で確認してください。
Q. 深夜0時を過ぎてお酒を出す予定です。営業許可のほかに何が必要ですか
高津警察署への深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。提出期限は営業を開始しようとする日の10日前まで(風営法施行規則第103条第3項)で、飲食店営業許可とは別の期限です。あわせて、その物件が住居専用地域・住居地域にないかを契約前に確認してください。これらの地域では原則として深夜酒類提供飲食店営業ができません。
ご利用前の注意
手数料・受講料・受付時間・様式・制度の内容は変更される場合があります。申請前に各公式サイトで最新情報をご確認ください。この記事は制度の全体像を整理したもので、個別の施設が基準を満たすかどうかの判断は、必ず区役所衛生課への事前相談で確認してください。
最終確認日:2026年8月15日
参考:
川崎市 飲食店等の新規営業許可/ 川崎市 営業許可申請の手引き(飲食店等を営業される方へ)/ 川崎市 食品営業の届出、給食施設の届出/ 川崎市 食品衛生責任者について/ 川崎市 HACCPに沿った衛生管理について/ 川崎市 受動喫煙防止対策/ 川崎市 防火対象物使用開始届/ 一般社団法人川崎市食品衛生協会 講習会情報/ 神奈川県警察 風俗営業等の規制概要と営業申請(届出)手続/ 神奈川県警察 高津警察署